【9月12日 AFP】パキスタンで11日、東部ラホール(Lahore)の警察署長が集団レイプの被害女性に対し、夜間に男性を同伴せずに車を運転していた本人に非があるとほのめかす発言をして批判を呼び、各地で抗議デモが行われた。

 この被害女性は9日夜、車の燃料がなくなった郊外で、自身の子ども2人の前で複数の男性に暴行を加えられ、レイプ被害に遭ったとされている。

 ラホールのウマル・シェイク(Umar Sheikh)警察署長は、報道陣に事件について話す際、夜間に男性の同伴なしに車を運転していた被害女性を繰り返し非難し、パキスタンでは「夜遅くに、自分の姉妹や娘を一人で行動させる人はいない」と発言。また、フランス人である被害女性に対し、「(自国のフランスと同じくらい)パキスタンを安全な国だと勘違いしたのだろう」と話した。

 パキスタンのシーリーン・M・マザリ(Shireen Mazari)人権相は、シェイク氏の発言は容認できないとし、「レイプという犯罪を正当化できるものはない」と批判。さらに、女性の人権を訴える弁護士はAFPに対し、シェイク氏の発言は、パキスタンに残念ながら「横行している」被害者バッシングの文化の一部との見解を示した。

 同国全土では11日、抗議デモが行われ、シェイク氏の発言を受けて同氏の辞任を求める声が上がった。

 パキスタンの保守層には、「名誉」を重んじる家父長制的な規範が根付いており、これにより女性が自分で結婚相手を選んだり、外に働きに出たりすることが難しくなっている。

「名誉」を傷つけたとする女性への暴力がまん延しているとして、活動家らは非難している。パキスタンでは、家族に「恥」をもたらしたとして親族に殺害される「名誉殺人」で、毎年約1000人の女性が犠牲になっている。(c)AFP