【9月10日 AFP】ギリシャのレスボス(Lesbos)島にある同国最大のモリア(Moria)移民収容施設で9日、大規模な火災が発生し、何千人もの難民申請者が住む場所を失った。この施設は過密状態にあり、劣悪な環境で知られていた。

 9日には、このモリアキャンプで生活する35人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことが判明。火災が発生したのはその数時間後だった。この火事による死者や重傷者はいない。

 キリアコス・ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は、今回の火災は同ウイルス検査への「暴力的な反応」だったと非難。これに先立ち、陽性が判明した後に隔離されたことに腹を立てた移民が、数か所で故意に火を付けたとの報道もあった。

 移民当局の発表によると、約4000人が生活していたキャンプの中心施設は、今回の火災で全焼。この中心施設の周囲に、さらに約8000人がテントやシェルターを設けて住んでおり、これらの多くも大きな被害を受けたという。

 市民保護省は、レスボス島に4か月間の緊急事態を宣言した。欧州連合(EU)は、保護者のいない子ども400人を本土に移送する資金の拠出を約束。またドイツはEU加盟各国に対し、支援を強化するよう呼び掛けている。

 ギリシャ政府は数か月前から、移民数千人をレスボス島をはじめとする島々から本土へと移送させてきた。その一方で政府は補助金を減らしており、キャンプを出た人の多くが住む場所も職も見つけられずにいる。(c)AFP