【9月8日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(44)が毒物被害に遭ったとされる問題で、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相はロシアが徹底的な調査を行わない場合、独ロを結ぶパイプライン建設事業への影響を排除しない意向を示した。政府報道官が7日、明らかにした。

 先月ロシアの国内線の機内で体調が急変したナワリヌイ氏は、現在ドイツの病院で治療を受けており、7日には人工的な昏睡(こんすい)状態から脱し、呼び掛けに反応していると発表された。

 シュテフェン・ザイベルト(Steffen Seibert)報道官は、ナワリヌイ氏の件をめぐりドイツがロシアに制裁を科す場合、メルケル首相がロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」の建設事業を制裁対象から外すかどうか尋ねられると、「首相は最初から何かを排除することは間違っていると考えている」と答えた。

 ノルドストリーム2は、バルト海(Baltic Sea)の海底を通す100億ユーロ(約1兆2500億円)規模のパイプラインで、完成は間近とされる。稼働すれば、ドイツへのロシア産天然ガスの供給量は倍増する。だが、欧州諸国のロシアへのエネルギー依存を批判する米国は、この建設事業に長らく介入してきた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は同事業に携わる企業を標的とした法案に署名しており、これによって独企業はわずかな額でも投資を行えば米国の制裁対象となる。トランプ氏は7日の会見で、ドイツはこのパイプライン事業を中止すべきだと思うかと問われ、「もちろんだ」と答えた。

 ノルドストリーム2については、欧州連合(EU)の中でも反対の声が上がっている。特にポーランドなどの旧共産圏諸国は、EUのロシア依存が過度に高まることを警戒している。

 しかし当のドイツは石炭や原子力発電からの脱却を目指す中で、ロシアとの政治的な違いにもかかわらず、ノルドストリーム2によってより環境にやさしいエネルギー源の安定供給を確保できると考えている。(c)AFP