【9月8日 AFP】トルコは7日、2018年にサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏(当時58)が殺害された事件で、サウジの裁判所が被告5人の死刑判決を撤回したことについて、国際社会の期待に応えていないと述べた。

 サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)に批判的だったカショギ氏は、2018年10月にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。トルコ当局によると、同氏は領事館内でサウジ関係者15人に絞殺された。遺体はバラバラにされ、まだ見つかっていない。

 トルコ大統領府通信局のファフレッティン・アルトゥン(Fahrettin Altun)局長はツイッター(Twitter)に、「ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジ領事館内で殺害された事件についてサウジの裁判所がきょう下した最終的な判決は、トルコと国際社会の期待に応えていない」と投稿した。

 事件をめぐっては、カショギ氏の息子らが犯人らに「許し」を与えると表明したことから、減刑の可能性が出る中、サウジの裁判所は7日、被告5人の死刑判決を撤回し、8人に禁錮7〜20年の確定判決を言い渡した。

 アルトゥン氏は、「カショギ氏の遺体がどうなったのか、誰が彼の死を望んだのか、現地の協力者がいたのかどうかはいまだ明らかになっておらず、サウジの法的手続きの信頼性に疑問を投げ掛けている」と述べ、サウジ当局に対し、トルコの独自捜査に協力するよう呼び掛けた。

 さらに、「トルコ国内で引き起こされたジャマル・カショギ氏殺害事件に光を当て、公正な裁きを行うことは、法律で定められた良心に基づく義務だ」「将来の同じような残虐事件を防ぐための唯一の方法だ」と訴えた。(c)AFP