盗掘で消えるスーダンの歴史、金を求め遺跡を破壊 重機の利用も
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■ゴールドラッシュ
スーダンは南アフリカとガーナに続きアフリカで3番目に金の産出量が多い国で、商業採掘は2019年、スーダン政府に12億2000万ドル(約1300億円)をもたらした。
過去には、ナイル川の支流である青ナイル川(Blue Nile)と白ナイル川(White Nile)が交わるハルツームの対岸に位置する町オムドゥルマン(Omdurman)で砂金を探し、幸運を試す人たちもいた。
しかし、発見される砂金の量はわずかだった。
そして1990年代後半、考古学者らが科学的調査で金属探知機を使用しているのを人々は目にした。
「考古学者が何かを掘り起こし探しているのを見た時、人々はそれが金だと思ったのでしょう」と、政府の遺跡部門に携わってたこともある専門家のマハムード・タイブマハムード・タイブ(Mahmoud al-Tayeb)氏は述べた。
■「尊厳の根拠」
さらに悪いことに、裕福な実業家らが掘削機を用意する傍ら、地元当局は若者と失業者に宝探しを推奨してきた。
「スーダンの著明な遺跡約1000か所のうち、少なくとも100か所が破壊もしくは損傷を受けている」とヌール氏は述べる。そして、「1人の警察官が遺跡30か所を担当する…そしてその警察官は通信機器や適切な交通手段も持っていない」ことを指摘した。
しかし、根本的な問題は警備の不足ではなく、政府の優先順位にあるとタイブ氏は言う。
「警察官の問題ではない」
「それは、自分たちの歴史や遺産をどう扱うか? という重大な問題だ。それが主要な問いだ。しかし、遺産は政府にとって優先事項ではない、すると何ができるだろう?」
こうした状況にヌール氏は、「歴史や遺産はスーダン人の調和に欠かせない」と述べ、「スーダン人は、自身の歴史から尊厳の根拠を得るからだ」と話した。(c)AFP/Sammy Ketz