【9月5日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)で4日、アレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)対アドリアン・マナリノ(Adrian Mannarino、フランス)の男子シングルス3回戦が、予定より3時間遅れて始まる出来事があった。開催地のニューヨーク州側がマナリノを出場させないよう、直前に介入をしたことが原因だったとされるが、不可解な点の多い一戦となった。

 この試合は本来午後2時半の開始予定だったが、入場の直前に州の衛生当局から大会主催者側に対し、マナリノはホテルの部屋で隔離するべきだとの連絡があったといい、マナリノは本人は7-6(7-4)、4-6、2-6、2-6で敗れた試合後、「大きな知らせだった。もうコートに上がるところだったからね」と話した。

 マナリノは、新型コロナウイルス検査で陽性となり大会を棄権した同胞のブノワ・ペール(Benoit Paire)と接触していたことを受け、安全対策が強化されていた選手の一人だった。

 ペールと接触した11人は大会の出場が認められる代わりに、当局による厳しい制限を受けることで合意。通常は4日に一度のところ、選手たちは毎日検査を受けることが義務付けられ、会場以外への移動は禁じられた。

 マナリノによれば、ニューヨークの州当局が今回の件に介入し、自身の出場を認めない判断を下したと主催者側から聞かされたという。

 決定を変えるため、州側に電話をかけていると説明を受けたマナリノは、「奇妙な状況だった。ソファに横になって、コートに立てるようになった場合に備えていた」とコメント。予定から2時間を過ぎても試合が開始されず、どちらの選手からも情報がない中、会場では開催を危ぶむ見方が強まっていたが、マナリノは結局午後4時40分になって出場の許可が下りたことを知ったという。

 最終的にその40分後に始まった試合はマナリノが第1セットを奪ったが、そこから失速して逆転負け。敗因は試合前の混乱ではなく、鼠径(そけい)部のけがだったと話し、「とにかくプレーできるという状況がうれしかった」と付け加えた。

 一方、4回戦でアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナ(Alejandro Davidovich Fokina、スペイン)と対戦することが決まったズベレフは、試合が行われる可能性は「ほとんどなかった」と伝えられていたと明かした。「うろうろ待っている感じだった。結局のところ自分たちはプロだから、こういう状況にも対応しないといけない」 (c)AFP