【9月4日 AFP】(更新)ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が意識不明の重体となった問題で、北大西洋条約機構(NATO)は4日、緊急会合を開き、ナワリヌイ氏への毒物使用をめぐる国際調査を呼び掛けるとともに、ロシア政府に対しては、同国による神経剤ノビチョクの開発計画について、化学兵器禁止機関(OPCW)に公表するよう要求した。

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 今回の緊急会合では、ナワリヌイ氏を治療しているドイツが、他の加盟29か国に向けて状況説明を行った。

 NATOのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は、ナワリヌイ氏に対する「戦慄(せんりつ)の攻撃」を全加盟国が一致して非難しており、「ロシア政府は公平な国際調査に向け、OPCWに全面的に協力しなければならない」と訴えた。

 またストルテンベルグ氏は、ノビチョクが使用されたことを示す「疑いの余地のない証拠」があると明言した。

 2018年にも、ロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏とその娘に対して、ノビチョクが使用される暗殺未遂事件が発生している。

 ストルテンベルグ氏は、スクリパリ氏の事件と同様の報復措置だった可能性は否定しないとする一方で、同氏の事件はNATO加盟国である英国で発生したのに対し、今回の毒物使用はロシアで行われており、事件の性質は異なると強調。

「われわれは今回の問題について、あからさまな国際法違反だと考えている。よって国際的な対応を要するが、具体的にどのような国際対応になるかを臆測することは、現時点では差し控える」と述べた。(c)AFP