【9月2日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は1日、警察による黒人男性銃撃事件に揺れるウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)を訪問し、同市で最近行われた人種差別への抗議デモについて、暴徒による「国内テロ」行為と断じた。

 同市では先週、黒人男性が白人警官に背後から至近距離で撃たれた事件を受け、怒りの抗議デモが数晩にわたって発生。トランプ氏はこれらのデモは「平和的な抗議ではなく、国内テロだ」と指摘した。

 ウィスコンシン州は、11月の大統領選挙で焦点となる激戦州の一つ。野党・民主党からは、トランプ氏の訪問で緊張が高まる恐れがあるとの警告が上がっていたものの、トランプ氏は訪問を敢行した。

 トランプ氏は、過去数か月間の新型コロナウイルス感染症対策が酷評されており、自身がより得意とする「法と秩序」の面で支持を得て、11月の大統領選に向け民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)候補の優位に立ちたいと考えている。

 バリケードで囲まれた道路をトランプ氏の車列が通過すると、片方の道路脇に集まったトランプ氏の支持者らと、もう片方に並んだ人種差別抗議運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の参加者らが罵声を浴びせ合い、面と向かって対立し緊張が走る場面も見られた。

 道路脇のプラカードには「この街を救ってくれてありがとう」と書かれたものもあれば、「あなたは私たちの大統領ではない」と訴えるものもあった。

 厳重な警備で道路が封鎖された中、トランプ氏は焼失した店舗を訪問し所有者らに「われわれが再建を助ける」と述べた。

 暴徒化したデモを鎮圧した警察部隊について、「彼らは素晴らしい仕事をした」と称賛。「ここは素晴らしい地域で、素晴らしい州だ」と述べ、その後、連邦政府からウィスコンシン州の警察、小規模事業、治安維持に少なくとも4700万ドル(約50億円)の支援金を支出すると表明した。

 トランプ氏は首都ワシントンで、ケノーシャへの訪問中に警察に銃撃されたジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さんの家族との面会もあり得るとしていたが、実現はしなかった。(c)AFP