【9月2日 AFP】2015年のイスラム過激派による襲撃事件で多くのスタッフが犠牲となった仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)は1日、同事件の共犯とされる被告らの2日の公判開始に合わせ、イスラム教預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の物議を醸す風刺画を再掲載すると述べた。

 2015年1月7日、シェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者とサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者の兄弟はシャルリー・エブド紙のパリ本社を襲撃。フランスで最も著名な風刺画家ら12人が殺害された。クアシ兄弟は事件で死亡した。

 2日にはこの襲撃に加担したとされる被告14人の公判がパリで始まる。同紙襲撃事件の翌日にはユダヤ系スーパーも襲撃された。

 シャルリー・エブド紙は2日付の1面で、2005年にデンマークの日刊紙ユランズ・ポステン(Jyllands-Posten)に掲載、2006年にシャルリー・エブド紙に再掲され、イスラム教社会全域に激しい怒りを巻き起こした預言者ムハンマドの風刺画12点を再び掲載。うち中央にある風刺画は、襲撃事件で亡くなったジャン・カビュ(Jean Cabut、通称カビュー=Cabu)氏によって描かれたもの。1面の見出しには「すべて、これだけのために」と付けた。

 同紙編集部は公判が始まる今こそ、風刺画を再掲載するのに適しており、再掲が「不可欠」であると言明。「2015年1月以降、われわれはムハンマドの風刺画を掲載してほしいとの要望をよく受けてきた」が、「風刺画の掲載を常に拒否し続けてきた、その理由は、それが禁じられているからではなく―そもそも法律では認められている―きちんとした理由、つまり意義があるという理由、議論の材料となる理由が必要」だったためだと説明した。

 シャルリー・エブド紙は、物議を醸すさまざまな問題に不快感をもたらすことをいとわず、フランス国内では多くが同紙を表現の自由の擁護者と捉えているが、あまりに何度も一線を越えたと批判する人もいる。だが2015年の襲撃事件は深い悲しみに包まれた国民を団結させ、ツイッター(Twitter)では当時、犠牲者との連帯を示すハッシュタグ「#JeSuisCharlie(私はシャルリー)」がトレンド入りした。(c)AFP/Frédéric POUCHOT, Stuart WILLIAMS