【9月1日 AFP】オーストラリア政府が、大手IT企業は報道機関のニュースをインターネット上で表示した際に記事使用料を支払わなければならないとする規制案の法制化を目指す中、米フェイスブック(Facebook)は1日、法律が成立した場合には豪国内の利用者と報道機関によるニュース記事共有を禁止すると警告した。

 フェイスブックは、この禁止措置は「最初の選択」ではなかったとしながらも、「理不尽な結果から身を守る唯一の方法」だと述べた。同社によると、法律が成立した場合、豪では国内外のニュース記事をフェイスブックとインスタグラム(Instagram)に投稿できなくなるという。

 豪政府はこの発表に直ちに反論し、ジョシュ・フライデンバーグ(Josh Frydenberg)財務相は「いかなる抑圧や手荒な脅しも」受け入れない姿勢を示した。

 また「オーストラリアは国益増進のための法律をつくる」と述べ、IT大手に使用料支払いを義務付ける法案は「より持続可能なメディア環境を創出するのに役立つ」と主張した。

 同法案は、米IT大手の勢力抑制を目的とした政府による最も積極的な取り組みの一つで、豪政府はフェイスブックとグーグル(Google)が低迷する国内の報道機関にコンテンツ使用料を支払うことを義務付け、支払わない場合は多額の罰金を科す法を立案。さらに、IT企業がコンテンツのランク付けに使用する、厳重に守られたアルゴリズムに透明性を持たせることも求めている。

 フェイスブックの豪・ニュージーランド法人社長、ウィル・イーストン(Will Easton)氏は、同法案は「インターネットの原動力を誤解しており、豪政府が保護しようとしている報道機関にも打撃を与えるものだ」と主張。

「最も厄介なのは、同法案は報道機関が自らわれわれのプラットフォームに掲載した記事について、その支払いをフェイスブックに義務付けようとしていることだ」とし、「われわれが報道機関にもたらす金銭的な価値を無視している」と指摘した。(c)AFP