■「複雑な動きをリアルタイムで制御できれば画期的」

「頭蓋骨にぴったり埋め込める。髪の毛の下に埋め込んだ人は、自分でも気付かないほどだろう」とマスク氏は述べた。

 一方、英ウォリック大学(University of Warwick)生体医工学部のクリストファー・ジェームズ(Christopher James)教授は、脳とコンピューターをつなぐインターフェース技術はこれまでに何度も開発が行われてきたが、ニューラリンクのプロジェクトがどの程度成功するかを見極めるのは難しいと指摘する。

 研究者らによると、外部から脳に送り込まれた情報を読み取る技術は向上したが、その情報を必要なすべての箇所に同時に送り返す技術はまだ満足できるレベルに達していない。

 手足を動かす際は脳が適切な信号を手足に送り、聴覚や視覚が働いている場合は脳が知覚情報を受け取っている。

「では、(技術に関して)どんなことが可能になればすごいかというと」と、ニューラリンクのデモンストレーションが行われる前にジェームズ教授は説明した。「複雑な一連の動作をリアルタイムでコントロールできること。しかも繰り返し、失敗もほとんどなく実現できることだ(それと、話をしたり口笛を吹いたりなど、何か他のことをしながら物を動かせることなんかもそうだ!)」

 マスク氏は、ニューラリンクは先月、米国の規制当局に「画期的なデバイス」だと認められ、プロジェクトチームは臨床実験に向けて大きく前進していると述べた。(c)AFP/Glenn CHAPMAN