【8月30日 AFP】男子テニス、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)が、ATP選手協議会(ATP Player Council)とは別の選手会を設立しようとしているという報道を受け、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)とロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)がジョコビッチの動きをたしなめる発言をし、「分断ではなく団結」を呼びかけている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道によれば、ジョコビッチは選手協議会の会長を辞任して新たにプロテニス選手協会(PTPA)を設立するとみられている。

 本人もウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)で優勝した後、「全員から答えをもらえているわけではない。今はどのくらいの選手に参加の意思があるか、感触を確かめているところで、そこを出発点にしていく」と話した。

「正式な発足にこぎ着けることができれば、こちらの選手協会とATP選手会は最初から共存できるはずだし、するべきだ。そのことがわれわれをどこへ導くかは、時間が教えてくれるだろう」

 ナダルとフェデラーは渡航していないため不参加だったが、米ニューヨークに集まっている選手たちは29日に話し合いを行い、ジョコビッチの案を検討してどの程度の支持が得られそうかを探った。設立の意図について、ジョコビッチは、ランキング100位圏外の選手を助けるためだと話している。

「サインする選手の数に最小限も最大限もない。ターゲットにしているのはシングルスの500位以内とダブルスの200位以内で、その中の大半の選手に参加してもらえればと思っている」

「今すぐに実現するのは難しいし、それはわれわれも分かっているが、この件には時間をかけたい。ただ、どこかでスタートを切らなくちゃいけない」「選手とこのスポーツにとって、重要な一歩になると思う。テニスにとってすごく良いことのはずだ」

 しかしナダルは、ジョコビッチに考え直すよう求め、「世界は今、難しく複雑な状況にある。個人的には、こうした時期には落ち着いて、みんなで力を合わせて同じ方向へ進むべきだと信じる。今は団結の時であって、分断の時ではない」とコメントした。

 フェデラーもすぐさまナダルの意見を支持し、「ラファエル・ナダルに賛成だ。今は不確実で難しい時期だが、選手やスポーツとして団結し、将来へ向けた最高の道筋をつけることが大切だと信じている」と話した。

 これに対し、ジョコビッチは二人の立場を尊重しながらも同意はしていない。

「もちろん、ロジャーとラファが参加してくれるのは大歓迎だし、どんな選手でも大歓迎だ」「その中には、別の意見を持った選手がいることもよく理解している。しかし、今はその時じゃないと彼らが考えているのに対して、僕は今がその時だと思っている」 (c)AFP