【8月30日 AFP】東地中海でのトルコとギリシャの緊張が高まる中、トルコは29日、同海域で新たな軍事演習を開始した。一方のギリシャは、同国当局が管轄する空域にトルコ軍機が侵入したと批判している。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国同士のトルコとギリシャは、東地中海の海域の領有権と天然ガス資源をめぐって長年対立しており、両国はそれぞれ対抗する形で海軍の演習を開始している。

 トルコは海上安全情報を船舶向けに放送する国際的なナブテックスシステムを使って、29日から来月11日まで同国南部アナムル(Anamur)沖のキプロス北方に位置する海域で「砲撃演習」を行うと通知した。

 さらにギリシャ国防参謀本部HNDSは、複数のトルコ戦闘機が28日、ギリシャ当局が航空管制の責任を持つアテネ飛行情報区(FIR)に入ったと報告した。

 この日、ギリシャのF16戦闘機4機は、NATOの団結を示すために米軍のB52爆撃機6機が欧州と北米の全加盟国の上空を1日で飛行する「アライドスカイ(Allied Sky)」作戦の一環として、B52爆撃機1機を護衛していた。

 HNDSは、トルコによる侵入が「挑発的で同盟に反した」態度だと非難。ギリシャの戦闘機がトルコ軍機を追い払ったという。

 こうした事態を受けてNATO加盟国間でも分裂が生じており、イエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO事務総長は28日、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領との電話会談で、「協議と段階的な緊張緩和」の必要性を強調した。(c)AFP/Gokan GUNES