【8月27日 AFP】日本の研究者らが微生物の放射線耐性菌を宇宙空間にさらす実験を行い、少なくとも3年生き延びることを確認した。無防備の状態でも生命が地球と火星の間を移動できる可能性を示した形で、論文は26日付の学術誌「Frontiers in Microbiology」に掲載された。

 実験に携わった研究者らは結果について、微生物が惑星間を移動でき、移動先で生命の起源となるという「パンスペルミア説」に信ぴょう性を与えるものだと説明している。

 研究者らは説を実証するため、デイノコッカス・ラジオデュランスと呼ばれる細菌を地球から高度400キロの国際宇宙ステーション(ISS)の外の宇宙空間にさらした。

 宇宙空間という厳しい環境に加え、強力な紫外線、さらには大きな気温差にも耐え、菌の一部は3年後も生存していた。

 論文を執筆した東京薬科大学(Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences)の山岸明彦(Akihiko Yamagishi)名誉教授はAFPに対し、研究室での実験から細菌が生き延びるだろうとは思っていたものの、実際に生きたまま戻ってきたときには安心したと語った。

 山岸氏はまた、研究結果により細菌が火星ー地球間の移動に耐えられる可能性が示されたと指摘。生命の起源は地球上で発生したと誰もが考えているが、他の惑星が生命の発祥地である可能性もあると述べた。

 山岸氏らの研究チームは、細菌をより強力な放射線にさらすために放射線帯「ヴァン・アレン帯(Van Allen Belts)」の外でも同様の実験を行いたいとしている。(c)AFP