【7月20日 AFP】火星は現在、不毛で寒冷な砂漠と見なされているが、地球から最も近いこの惑星にはかつて生命が存在したのだろうか。科学者らは長年にわたり、この問題に頭を悩まされている。

 この疑問に答えを求め、米国、中国、アラブ首長国連邦(UAE)は、それぞれに宇宙計画を進めている。そして、これらの探査計画はこれまでで最も野心的な試みになると予想されている。

 探査計画の目標は、火星の生命の発見ではなく、過去に生息していた可能性のある生命体の痕跡を見つけることとなっている。現在の火星には何も生き残っていないだろうというのが科学者らの考えだからだ。

 フランス国立宇宙センター(CNES)のジャンイブ・ルガル(Jean-Yves Le Gall)所長は先ごろ、報道陣との電話会議形式の取材に応じ、「数十億年前は生命が生息可能な環境だったことが分かっている。火星は、地球外生命体の痕跡が見つかる明確な見込みがある唯一の惑星だ」と探査計画について語っていた。

■「火星からのニュース」

 火星を対象とする科学的な調査が本格的に始まったのは17世紀のことだ。

 天体物理学者のフランシス・ロカール(Francis Rocard)氏が最近発表した論説「Latest News from Mars(火星からの最新ニュース)」によると、火星は「荒涼とした、何もない」月に比べると、微生物の生息可能性については期待できると長年思われてきたという。

 だが20世紀になって、火星探査計画は一度、挫折を余儀なくされている。1976年に火星に到達した着陸探査機「バイキング(Viking)」が大気と土壌のサンプルを採取した結果、火星はもはや生命が生息可能ではないとの結論に至ったためだ。

 火星研究にとってこの時の結論は「大打撃」だったと、ロカール氏はAFPの取材に語っている。

 そしてこの結論により、探査計画は実質的に20年間中断することになった。

 しかしその後、2000年に科学者らが形勢を一変させる発見をした──かつて火星の表面を水が流れていたことを明らかにしたのだ。