【8月26日 AFP】メラニア・トランプ(Melania Trump)米大統領夫人は25日、ホワイトハウス(White House)のローズガーデン(Rose Garden)で行われた共和党の党大会で演説し、新型コロナウイルスの犠牲者に哀悼の意をささげ、人種間の融和を訴えた。

 メラニア氏の優しさと寛大さを前面に出した演説は、民主党の大統領候補であるジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領批判が続いたそれまでの登壇者とは対照的だった。

 米国の新型コロナウイルスの死者は17万8000人に上り、経済的混乱が引き起こされたが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領を含めそれまでの登壇者はほぼ全員、この話題を無視してきた。

 だが、メラニア氏は演説の冒頭に「病気の人や苦しんでいる人」に祈りをささげ、「愛する人を失ったすべての人に心からお悔やみを申し上げる」と語った。メラニア氏が米国を揺るがす悲劇に言及したことで、批判一辺倒だった党大会の雰囲気は大きく変わった。

 メラニア氏はまた、「この大切な時間を、相手陣営を批判することに費やしたくはない」と述べた。

 26分に及ぶ、なまりの強い英語での演説は、メラニア氏が、自らが移民であることを擁護し、人種間の緊張が高まっているのを認識していることを示すものであった。

「わが国で起きている人種的不安について熟考している。わたしたちがこの国の歴史の一部を誇りに思っていないことは、厳しい現実だ」「全市民に、少し時間を取って、立ち止まり、あらゆる面から物事を見てほしい」と述べた。

 さらにメラニア氏は、ファッションモデルとしてスロベニアから渡米した26歳の頃を振り返り、「米国という素晴らしい場所についていつも耳にしていた」と述べた。それから10年後に「チャンスのある地」米国の市民になったことは「いまでも私の人生で、最も誇れる瞬間だ」と語った。

 トランプ氏は、不法移民を悪者扱いすることで一部政治的キャリアを築いてきたが、バイデン氏が世論調査でリードしていることを受け、トランプ陣営は中立の立場に戻ろうとしている。

 トランプ氏との結婚生活については臆測が絶えず、他の家族からも同氏の性格について痛烈な批判が上がっているが、メラニア氏はトランプ氏を擁護した。

「わたしたちは皆、ドナルド・トランプが自身の感情を包み隠さないことを知っている」「好き嫌いにかかわらず、いつも彼が何を考えているのかみんなが知っている。それは、彼がこの国を愛する真の人物だからだ」 (c)AFP/Sebastian Smith