■言語と自然の重要性を訴えて時代を先取り

 アイスランドは、欧州連合(EU)統計局(Eurostat、ユーロスタット)によると、13.7%の収入格差は残っているものの、世界経済フォーラム(WEF)による世界の男女格差に関する年次報告書で過去11年間、首位を維持してきた。

「自分が育つ国で指導者の役割が近代化されているかどうかも、人の心理には重要な働きをする」とアイスランド女性権利協会(Icelandic Women's Rights Association)で事務局長を務めるブリュンヒルドゥル・ヘイダル・オグ・オゥマルスドッティル(Brynhildur Heidar- og Omarsdottir)氏は指摘する。

 フィンボガドッティル氏が国民の間で最初に有名になったのは、同国でアイスランド語を用いての最初のテレビ放映が始まって2年後の1968年、自身がフランス語を教えるテレビ番組を通じてのことだった。

 仏グルノーブル(Grenoble)とパリのソルボンヌ大学(Sorbonne University)で学んだ親仏派のフィンボガドッティル氏は、アイスランド語と外国語の言語の重要性を強調した。

「言葉は、アイスランドにおける私たちの城だ」とフィンボガドッティル氏は1980年、自身の大統領就任式の演説で宣言した。

 EUの賛同者であるフィンボガドッティル氏は、欧州経済領域(EEA)へのアイスランドの加盟を支持。多くの国民は大統領の数少ない憲法上の権限を行使してEUとの連合協定の制定を阻止するよう望んだが、そうした猛反対を押し切り、1994年にEEA加盟を実現した。

「私の職歴の中で一番の難局だった」とフィンボガドッティル氏は後に認めている。

 フィンボガドッティル氏はまた、北大西洋の中心に位置する火山性の島国アイスランドは欧州で最も森林が少ない国の一つだとして、植樹の必要性も訴えた。

「現在のすべてのアイスランド人が最も重要視する二つの要素は何かと考えると、自然と言語だ。彼女は時代を先取りしていた」とフィンボガドッティル氏の伝記を書いたポール・バルソン(Pall Valsson)氏はAFPに語った。

 1954年に演劇活動を始めたフィンボガドッティル氏は、1972年から、大統領に選出されるまでレイキャビク・シアター(Reykjavik Theatre)の舞台監督を務め、90歳となった現在もすべての新しい演目を見に行っている。(c)Jeremie RICHARD