【8月26日 AFP】内戦が続くリビアで、対立する暫定政府と軍事組織が21日に突如、停戦に合意した。和平へ向けたかすかな希望を示す動きだが、何年にもわたって戦闘が続いた末、対立する外国勢力の介入もあることから、専門家らは懐疑的な姿勢を崩していない。

 国連(UN)が承認し、西部にある首都トリポリを拠点にする国民統一政府(GNA)のファイズ・シラージュ(Fayez al-Sarraj)暫定首相と、東部を拠点とし、有力軍事組織「リビア国民軍(LNA)」のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)司令官が支持する代表議会のアギーラ・サレハ・イーサ(Ageela Saleh Issa)議長は21日、別々の声明で、戦闘行為を停止し、近く選挙を実施すると発表。国連や欧州連合(EU)、複数のアラブ諸国はこれを歓迎した。

 前回2015年のリビア政治合意の際、交渉の主要メンバーだったエムヘメド・ショアイブ(Emhemed Shoaeb)氏は今回の合意について、「狂気の沙汰を断ち切りたいという意欲」を示した「正しい方向」への一歩だと評価する。

 国際社会はこの数年、リビアの指導者たちが合意に達するよう何度か圧力をかけたものの、いまだ永続的な合意に達したことはない。

 米ワシントンのシンクタンク「大西洋評議会(Atlantic Council)」のイマード・バディ(Emad Badi)上級研究員は、当事者間に不信感があるだけでなく外国勢力も関与していることから今後のプロセスは容易なものではなく、今回の合意はその一歩にすぎないと指摘する。

 東部の軍事組織LNAのハフタル司令官は2019年4月、トリポリをGNAから奪取しようと攻撃を仕掛けたが、撃退された。

 戦闘はリビア中部の要衝、地中海沿岸の港湾都市シルト(Sirte)でこう着状態になっている。シルトはリビア東部の油田と輸出ターミナル、さらに南部の重要拠点ジュフラ(Al-Jufra)空軍基地への玄関口だ。