【8月25日 AFP】米食品医薬品局(FDA)のスティーブン・ハーン(Stephen Hahn)長官は24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復者の血漿(けっしょう)を用いた治療を緊急許可すると発表した際に、その効果に関する主要データの引用が不正確だったとして謝罪した。

 米国は23日、実験的な治療法として、COVID-19から回復した人の血漿を使用することを緊急許可。しかしハーン長官や衛生当局高官らはその発表の際、回復者の血漿を用いることで、COVID-19の致死率が35%減少するというドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の主張をそのまま繰り返し、他の専門家らから非難を浴びた。

 致死率がそれほど減少するならば、同感染症の世界的大流行との闘いにおいて形勢を一転させる治療法となるが、実はこの統計は誤っていた。

 当局は米総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)の研究結果としてこのデータを発表したが、研究主任のスコット・ライト(Scott Wright)医師はAFPに対し、データは同院独自のものではなく、メイヨーと他の研究結果からFDAが総合分析したものだと思うと語った。

 ハーン長官は24日夜、ツイッター(Twitter)への投稿で「私は23日夜の回復期血漿療法の効果に関する自らの発言で批判を受けている。この批判は全面的に正しい。データが示しているのは絶対リスク減少ではなく、相対リスク減少だと言うべきだった」と認めた。

 ただこれだけ大幅なトーンダウンをしたとはいえ、FDAがメイヨー・クリニックの研究結果のどの数値を引用したのかは依然不明。血漿療法が緊急許可に値するかどうかは、科学界で見解が分かれている。(c)AFP