【8月23日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)親衛隊(SS)による最大規模の虐殺が起きたフランス中部の村にある記念館が落書きされる事件があり、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は22日、犯人を見つけ出すためにあらゆる手を尽くすと明言した。

 仏中部オラドゥールシュルグラヌ(Oradour-sur-Glane)にある記念館入り口が落書きされたことを受け、政治家からは非難の声が上がっている。この村では1944年6月10日、SSによって住民642人が殺害された。

 記念館入り口にある「犠牲者」の文字は白いペンキで消されていた。ソーシャルメディア上で公開された画像によれば、その横にフランス語で「うそつき」と書かれるなど、虐殺が起きたことを否定する言葉が落書きされていた。

 記念館のファブリス・エスキュール(Fabrice Escure)館長はAFPに対し、21日朝の開館時にこの落書きを発見したと述べた。

 1944年6月10日、ナチス部隊はSS司令官が仏レジスタンス組織に拘束されたとの報告を受け、オラドゥールシュルグラヌを包囲。村の男性全員を倉庫に集めて射殺し、その後女性と子どもを教会に追い込んで火を放った。

 戦後、レジスタンス運動の指導者で後に大統領となったシャルル・ドゴール(Charles De Gaulle)は、村を再建せず、記憶を伝えるために廃虚を保存するよう命じた。新たな村は、その近くに建てられた。

 後に来訪者の役に立つよう記念館が建てられ、今では毎年30万人が訪れている。

 フランスではユダヤ人墓地での破壊行為が相次いでおり、第2次世界大戦の記憶の継承をめぐって懸念が高まっている。(c)AFP