【6月16日 AFP】フランス北部にある第2次世界大戦(World War II)の英雄シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)の胸像が、落書きの被害を受けた。地元当局が15日、明らかにした。右派の政治家からは怒りの声が上がっている。

 ベルギーとの国境の近くに位置するオーモン(Hautmont)にあるこの胸像には、明るいオレンジ色のペンキがかけられ、台座の後ろには「奴隷制支持者」と書かれていた。

 米国で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官の拘束下で死亡した事件を機に、世界中で人種差別に抗議するデモが広がっているが、各地で歴史上の人物の銅像が倒されたり撤去されたりしている。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は14日、同国の歴史の「形跡」を抹消しない意向を示し、歴史上の人物の像を撤去しない方針を明らかにした。

 ドゴールは亡命中にナチス・ドイツ(Nazi)の占領への抵抗を呼びかけ、1958年に大統領に就任。フランスでは国民的英雄と見なされている。奴隷制度はフランス全土で1848年に廃止された。

 ブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済・財務相はドゴール胸像への落書き行為について、「フランスの歴史を否定するもので、わが国と国民の尊厳を常に守ったこの人物の尊厳に対する侮辱だ」とツイッター(Twitter)で非難した。

 オーモンのジョエル・ウィルモット(Joel Wilmotte)市長はAFPの取材で、胸像のペンキはすでに落とされたと述べ、「恥ずべき」行為を非難した。(c)AFP