【8月21日 AFP】ロードレース世界選手権(WGP)に参戦するエスポンソラーマ・レーシング(Esponsorama Racing)のヨハン・ザルコ(Johann Zarco、フランス)は20日、今季第5戦オーストリアGP・MotoGPクラス決勝での高速クラッシュに関して各方面から厳しく批判されていることを受けて、「リスクを負いたくないなら、この競技をすることはできない」と主張した。

 30歳のザルコは、レッドブル・リンク(Red Bull Ring)で行われた16日のレースで、ペトロナス・ヤマハSRT(Petronas Yamaha SRT)のフランコ・モルビデリ(Franco Morbidelli、イタリア)と衝突した。両選手は時速300キロの高速スピードでバイクから投げ出され、サーキット上を転がった。

 その際にモルビデリのマシンは、モンスターエナジー・ヤマハ(Monster Energy Yamaha)のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)の頭上わずか数センチを通過。WGPで通算9度の世界タイトルに輝くロッシが、恐怖のニアミスについて「殺されかけた」と振り返ったのに対し、モルビデリは「ザルコは殺人者になりかけた」とさらに怒りをぶちまけた。

 ザルコは先日負傷した右手首の手術を受け、オーストリアGPと同じサーキットで行われる今週末の第6戦スティリアGPに向けた21日のフリー走行には不参加の予定。22日の予選と23日の決勝に出場できる状態であるかどうかは、21日に判断することになっている。

 スチュワードの聴取を受けたザルコだが、この日は依然として開き直った態度を崩さず、「自分にとって明確なのは、決して誰かをサーキットから押し出そうとするものではないと知っておく必要があるということ。サーキット上でそんなことをしても、何も変わらないと思う」とコメントすると、自分のアプローチの仕方に関して、スチュワードが変更を強要することはできないと強調した。

「スチュワードが処分を望んでいるとしても、どうすることもできない。バイクレースに関して、そんなのは無理な考えだ」「僕が危険だというのなら、これらのバイクで危険を冒すことはできないし、リスクを負いたくないなら、この競技をすることはできない」

 ザルコはまた、自身のバイクがロッシとそのチームメートであるマーベリック・ビニャーレス(Maverick Vinales、スペイン)をあわや直撃するところだった大事故に関して、自分には責任がないと確信していると強調した。

「あの事故の経緯や、モルビデリを追い抜く前後の自分の動きについては説明した」「自分の話を裏付けるテレメトリーもある」「彼ら(スチュワード)は僕に質問した後、フランコの言い分を待つことになっている。僕の考えでは処分は何もないはずだ。なぜなら、とんでもないことは何もしていないし、スチュワードにはそのことを理解してくれるように期待している」

 ザルコとモルビデリの運命が判明するのはもう少し先になる様子で、スチュワードはこの日の夜、両選手への処分は21日に発表すると明らかにした。(c)AFP