【8月18日 AFP】16日に行われたロードレース世界選手権(WGP 2020)第5戦、オーストリアGPのMotoGPクラス決勝で、大事故を間一髪で逃れたモンスターエナジー・ヤマハ(Monster Energy Yamaha)のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)は、ライダーたちが「振る舞いを改善」してもっと敬意を示すべきだとの認識を示した。

 WGPで通算9度の世界タイトルに輝くロッシは、オーストリア・シュピールベルク(Spielberg)で行われた先日のレースで、時速約300キロのスピードで走行していたペトロナス・ヤマハSRT(Petronas Yamaha SRT)のフランコ・モルビデリ(Franco Morbidelli、イタリア)のバイクが、わずか数センチ目の前を通過するという震えるような体験をした。

 レース9周目にモルビデリとエスポンソラーマ・レーシング(Esponsorama Racing)のヨハン・ザルコ(Johann Zarco、フランス)が接触して二人ともバイクから投げ出され、ザルコのバイクは、ロッシとそのすぐ前を走っていた同選手のチームメート、マーベリック・ビニャーレス(Maverick Vinales、スペイン)をあとほんの少しで直撃するところだった。

 ロッシは、「本当に恐ろしかった。4人とも、特に自分とマーベリックはとても幸運だった」と振り返ると、「誰もが最大限の力を出そうとしているのだから」アグレッシブになるのは良いことだと認めつつ、「だけど、やり過ぎてはいけない。なぜなら、このスポーツは非常に危険であると覚えておく必要があるからだ」と語った。

「ライバルに敬意を示す必要がある。常に時速300キロで走行するサーキットではなおさらだ」 

■ライダーたちへの教訓

 ロッシは自身が所有するライダー養成スクールのスカイ・レーシングチームVR46(Sky Racing Team VR46)から支援を受けているモルビデリには、ブレーキをかける暇はなかったはずだとして、ブレーキングがワイドになってしまったと話していたザルコの操作に疑問を呈した。

 さらに、「僕らは本当にラッキーだったけれど、こうした事故がライダーたちへの教訓になって、彼らがこれから振る舞いを改善することを期待している」と話し、今回の事故で犠牲者が出ていれば、ザルコにはより厳しい目が向けられていただろうと示唆した。

「フランコと話した。彼は大丈夫。彼は考えないようにしているけれど、考えたら彼も恐怖を感じるだろう」「今回の違いは、誰も負傷せずに全員が大丈夫だったということ。だから、それが状況を変えている」「もし悪いことが起きていたら、状況は完全に異なっていただろうね」 (c)AFP