【8月20日 AFP】世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)事務局長が、米飲料・食品大手ペプシコ(PepsiCo)の幹部に就任する。同社が20日、発表した。同氏は任期を1年残し、問題が山積しているWTOを退任する意向を表明していた。

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 7年にわたりWTOの指揮を執ってきたアゼベド氏は今月31日に退任する。ペプシコの声明によると、その翌日の来月1日に、同社の副社長兼最高企業行動責任者(Chief Corporate Affairs Officer、CCAO)に就任するという。

 同社によると、このポストはブラジル出身でエンジニアとしての教育を受け、経験豊富な外交官でもあるアゼベド氏のために新設されたもので、同氏は「国内および外国の当局、規制機関、国際団体や非政府組織とペプシコの関係強化」に取り組んでいくという。

 同氏は、「持続可能で包摂的、長期的な成長を生み出すには、企業、政府、社会間の関係強化が必要不可欠となっているこの時に、ペプシコに入社できることをうれしく思う」とのコメントを出した。

 さまざまな危機に直面していたWTOの事務局長として2期目を迎えていたアゼベド氏は5月、「個人的な理由」を挙げて1年早い退任を突如発表。

 後任候補は現時点で8人。新事務局長は、新型コロナウイルスの世界的な大流行が引き起こした壊滅的な不況の最中にかじ取りを引き継ぐことになる。

 現在、複数の貿易交渉が絶望的な行き詰まりを見せており、米中間の緊張も高まる一方となっている。

 また、世界貿易の最高裁判所とも呼ばれるWTOの上訴機関である紛争処理機関(DSB)は、米国から何年にもわたって反発を受け、昨年12月から機能していない。(c)AFP