■オフィスでのリスク

 世界保健機関(WHO)は先月初め、新型コロナウイルスの空気感染について新しい証拠の見直しを行っていると発表した。新型コロナウイルスは人との間に空けるべき物理的距離として推奨されている2メートルをはるかに超えて移動することができるとする、国際的な科学者グループの結論を受けてのことだ。

 多くの国では現在、店や電車、バスなど閉鎖された一定の公共空間でマスクの着用を義務付けている。だがオフィス向けの指針は、それほど厳密ではないことが多い。

 英バーミンガム大学(University of Birmingham)応用衛生研究所(Institute of Applied Health Research)のKK・チェン(KK Cheng)所長は、マスク着用が店舗で義務付けられていながら、ほとんどの職場ではそうなっていないことについて、「合理的な説明」がないと指摘する。

 米疾病対策センター(CDC)が今月発表した研究で言及した97人のクラスター(感染者集団)は、その大半が韓国の首都ソウルのコールセンターの従業員だった。このコールセンターでは11階にあるオフィスの従業員216人のうち、94人が検査で陽性と判定された。陽性率は43.5%だ。研究者らによると、感染者のほとんどはビルの同じ側で働いていた。