■中国依存が深まるだけ

 中国と香港の米企業は、対応に苦慮している。

 中国と香港はいずれも、米国の措置はある種の報復行為だと非難している。香港政府は「米国の行為は偽善的で、米国企業と国民に非常に深刻な損害をもたらすだろう」と述べた。

 新たな規制がもたらす影響を正確に把握できるようになるまでには時間がかかるだろう。だが、米シンクタンク「大西洋評議会(Atlantic Council)」のジュリア・フリードランダー(Julia Friedlander)氏は、今回の措置についてこう話す。「香港と米国の間に貿易障壁を築くものであり、深く結びついている香港と米国の金融上のつながりが絶たれる」

 同氏はさらに「欧米市場に対する金融の玄関口としての香港の役割に、破滅的な影響をもたらすだろう。金融のグローバルサプライチェーンを求めているアジア以外の国際企業や政府にとって、必要に迫られる形で中国本土の市場が注目を集めることになる」と続けた。

 香港の親中派は、優遇措置廃止を一笑に付している。

「これにより、繁栄と安定への支援を求め、香港の人々は中国本土への依存をますます深めるようになるだけだ」と、親中派の葉劉淑儀(レジーナ・イップ、Regina Ip)議員はブルームバーグ(Bloomberg)に語った。

 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は7月、ビジネス界に不安がないことは香港証券取引所が証明していると指摘した。

 国安法の導入が現実味を帯びてきた5月末以降、香港株式市場のハンセン指数(Hang Seng Index)は、中国本土からの投資の流入に支えられ10%以上上昇している。

 多国籍企業は香港へ巨額の投資をしていることから、すぐに資本逃避が起こると予想する人はほとんどいなかった。

 ツァン氏は「香港で事業を行う多国籍企業が意思決定を行い、実行に移すまでには時間がかかり、その前に一連の変化は起こっているだろう」と語る。

 国安法とトランプ政権の中国に対する強硬な態度というダブルパンチを受け、香港の都市としての魅力は上海や深セン(Shenzhen)よりも低下するだろう。

「香港は中国大陸にある競争力の高い都市よりもいまだ優位にあるのかどうかという問いが、国際ビジネスに携わる人々の頭に浮かぶはずだ」 (c)AFP / Jerome Taylor and Su Xinqi