【8月15日 AFP】陸上、ダイヤモンドリーグ(Diamond League 2020)の今季初戦モナコ大会(Herculis EBS)が14日に行われ、男子5000メートルではウガンダのジョシュア・チェプテゲイ(Joshua Cheptegei)が12分35秒36で優勝し、同種目の世界記録を16年ぶりに塗り替えた。

 風もほとんどなく気温27度の完璧なコンディションの中、チェプテゲイは2004年にエチオピアの伝説的選手ケネニサ・ベケレ(Kenenisa Bekele)が記録した当時の世界記録12分37秒35を上回った。

 昨年の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)で男子1万メートルの金メダルに輝いて以来、何を目標に練習していたか聞かれたチェプテゲイは、「スピード強化に励んでいた」と笑顔で答えた。

「今年はモチベーションを保つのにいろいろなことを考えた。大勢が外出自粛をしている中で、自分のモチベーションを維持する必要があったからね」「自分を鼓舞していた。周りには適切なスタッフとコーチがいた。いつもは欧州を拠点にしているけれど、ウガンダで家族と一緒に過ごしていたのは本当に最高だった」

 エキシビションとして行われた6月のノルウェー・オスロ大会と7月のスイス・チューリヒ大会を経て、今季のダイヤモンドリーグはモナコでシーズンが開幕。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で今季の陸上大会がほぼ中止となる中で、チェプテゲイの今回の偉業はシーズン再開の喜びにふさわしいものとなった。

 一方、同じく昨年の世界陸上で男子200メートルを制した米国のノア・ライルズ(Noah Lyles)も今大会で輝きを放った。同選手は同種目のスタート前の選手紹介で、黒い手袋をはめた右手の拳を突き上げて反人種差別への支持を示すと、レースも難なくこなして19秒76の独走で優勝した。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行をはじめ、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動、そして自身が優勝候補の筆頭に挙げられていた東京五輪の延期など、次々と起こる「最悪の事態」に精神的に落ち込んでいたことを認めたライルズは、今回の勝利が完璧な気付け薬となった様子で、「裏庭にいるより、ここで競技をしている方がよっぽどいいね」とコメントした。(c)AFP/Luke PHILLIPS