■相次ぐ活動家の失踪

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によりタイ経済は急速に悪化。政府の危機対応に既に不満を感じていた人々の怒りは一気に高まった。

 当局が行ったとされる人権侵害も、その怒りをあおった。

 今年6月、タイの民主活動家ワンチャルーム・サッサクシット(Wanchalearm Satsaksit)氏がカンボジアで行方不明になった出来事を受け、ツイッター(Twitter)で抗議運動が広がっただけではなく、全国で政府に対応を求める街頭デモが行われた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)によると、2014年のクーデター以降にタイを逃れた活動家少なくとも8人が、この2年間で行方不明になっている。

■王室

 若者らによる抗議活動は、大胆にも微妙な領域に踏み込み始めている。

 10日に行われた抗議活動では、批判が禁じられている君主制度に対する要求を主催者らが読み上げ、約4000人の参加者が耳を傾けた。

 参加者の多くは、議論が多い不敬罪を定めた刑法112条の廃止を呼びかける「エンド112」と書かれたマスクを着用していた。刑法112条に違反した場合、1件につき最大禁錮15年を科すことができる。

 活動家らはまた、マハ・ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王(68)について自由な議論ができるよう求めている。

 2016年に崇敬されていた父親のプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)前国王が死去したことを受け即位したワチラロンコン国王は、王室財産を自らの意思で運用できるようにし、一部の軍部隊を国王直属とした。