【8月22日 AFP】エレクトロミュージックのイベントで踊るファン、朝食を買い求める長い列、交通渋滞──これらはすべて、新型コロナウイルスが最初に確認された湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)での最近の様子で、今年1月の時点では、すべてが想像することすら難しかった。

 武漢では4月、76日間におよぶ都市封鎖(ロックダウン)が解除された。都市機能が回復し、通りには活気が戻った。

 しかし、すべてが元通りになったわけではない。人口1100万人の武漢では、ビジネスは依然として低迷したままだ。

 不動産会社の社員フー・ゼユー(Hu Zeyu)さんはAFPに対し「今年の上半期、感染例が増え始める前に予定していた企画のうちの一部のみを始動させた」と語った。

 屋台を営むヤン・リアンカン(Yang Liankang)さんは、状況がゆっくりと改善していると語る。売上高は、1か月前の1日あたり約300元(約4600円)から1000元(約1万5000円)を超えるまで戻っているというが、それでも「理想からはほど遠い」と話す。

 また、市内の一部地区では、交通を制限するためのプラスチック製のバリケードが設置されたままとなっている。ロックダウン中は至る所にあったものだ。

 経験したつらい期間を振り返る機会はそれぞれ持つが、それがある形をもって表に出るケースはそう多くない。

 そうした試みの一つが、武漢の歴史の中における極めてまれな状況となったこの期間について記録として残そうというパンデミック(世界的な大流行)をテーマにした展示の開催だ。会場には、流行最盛期に医療従事者が着用したサイン入りの防護服をガラス越しに見る家族連れの姿があった。

 感染再拡大の恐れはある。それでも一部の市民らは復活する武漢を楽しもうと前向きな姿勢を見せている。

 AFPの取材に応じた女性は「毎日を最後の日と思って楽しんでいる」「あまり心配したくない」と話した。 (c)AFP