レバノン爆発、死者137人に 経済危機に続く惨事に国民怒り
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【8月6日 AFP】(更新)レバノンの首都ベイルートで4日に発生した大規模爆発をめぐり、爆発の原因とされる物質の保管方法に対する国民の怒りが高まっている。公衆衛生省は6日、死者は少なくとも137人、負傷者は5000人超に上り、数十人の行方が今も分かっていないと発表した。
爆発の被害はベイルート中心部の広範囲にわたっており、死者数は今後も大幅に増える恐れがある。経済危機に見舞われているレバノンは、爆発によりさらにどん底へと突き落とされた形だ。
爆発は4日に発生。ベイルート港湾地区の倉庫に放置されていた硝酸アンモニウム約2750トンに、何らかの形で着火したことが原因とみられている。
硝酸アンモニウムは手製爆弾に使用されることもある可燃性が高い物質で、国民の間では、そのような物質が人口密集地の近くに少なくとも6年も保管されていたことへの怒りが高まっている。
レバノン政府は捜査を進めると明言し、内閣は軍に対し、硝酸アンモニウムの管理責任者を自宅軟禁するよう命じた。
しかし、爆発によって遺体が通りに散乱するなど壊滅的な被害を受けたマル・ミカエル(Mar Mikhail)地区の住民、リナ・ダウード(Lina Daoud)さん(45)はレバノンの政治家らを「国家の敵」と非難している。
ダウードさんは「政治家らはわれわれの夢や、未来を台無しにした」「レバノンは天国のようだった。彼らはここを地獄に変えた」と述べた。
レバノンは数か月にわたる経済危機に見舞われており、通貨も下落。これにより、新型コロナウイルスの感染拡大以前から貧困が加速していた。
ハッサン・ディアブ(Hassan Diab)政権は「この大惨事を引き起こした責任者らは代償を払うことになる」と強い姿勢を示しているが、アナリストで米ジョージタウン大学(Georgetown University)特任助教のファイサル・イタニ(Faysal Itani)氏はこれに悲観的だ。
イタニ氏は「レバノンの官僚制度には怠慢や汚職、責任転嫁の文化がまん延しており、無能で公益を軽視した政治階級によってすべてが管理されている」と指摘している。(c)AFP/Rouba el Husseini and Tony Gamal-Gabrie