【8月5日 東方新報】中国で新型コロナウイルス感染症による社会的影響を悪用した「コロナ詐欺」が横行している。インターネットやメッセージアプリを使った手口が多く、公安省は7月下旬までに、全国で1万6000件の事件で7506人を逮捕したと発表している。その手口は「よくもこれだけ考えつく」とあきれるほど多様だ。警察が公表している主立った手口を紹介する。

■マスク詐欺

 新型コロナウイルス感染症が拡大しマスクなどが不足していた時期、中国版LINEにあたるメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」で、「マスクや体温計、防護服売ります」とメッセージを送る。希望者に金を振り込ませた後、理由をつけて品物を発送しなかったり、粗悪品を送りつけたりする。中には、闇ブローカーの連絡先を教えるだけとか、品物を入れず空き箱だけを送る事例もあった。

■センセイ詐欺

 新型コロナが流行していた時期は学校も休校していたが、学校の教師になりすまして保護者に「授業料や資料代、補習費用は変わらず必要です」とSNSで連絡。QRコードを通じて金を支払わせてだまし取る。

■募金詐欺

 赤十字社や慈善団体を名乗り、「新型コロナに苦しむ人のために募金を」とインターネットや微信で呼びかけ、同情心を利用して金をだまし取る。

■患者なりすまし詐欺

 患者本人やその家族になりすまし、入院費名目で現金をだましとる。「私は17歳の高校生です。いま病院で新型コロナと診断されました。自分の人生でこんなことになるなんて夢にも思わなかった。家は貧しくて入院費を払えません。誰か助けてください」とインターネットで呼びかけた詐欺もあった。

■特効薬詐欺

 インターネットで「新型コロナの特効薬がある」とうその宣伝をして、購入代金を払い込ませる。実際に送るのは、消毒液や虫刺されのかゆみ止め、サプリメントなど。

■キャンセル補償詐欺

「新型コロナが理由で飛行機がキャンセルになった場合、損害を賠償する」と携帯電話にショートメッセージを送る。電話のやりとりでキャンセルとなった航空便を聞いた後、「賠償金を振り込むため銀行口座とパスワードを教えて」と聞き出し、預金をだまし取る。

■借金詐欺

 新型コロナの影響で収入が減った人を狙い、微信などで「特別な条件でお金を貸す」とメッセージを送る。専用のアプリをダウンロードさせ、個人情報や銀行口座を入力させる。「保証金」「手続き費用」として口座から預金をだまし取る。

■雇用詐欺

 新型コロナの影響で職を失った人を狙い、インターネットで、「新型コロナ感染防止のための監視員を募集。高給保証」と呼びかけ、応募した人に「就職保証金」を要求し、だまし取る。

 そんな簡単にだまされるのかとも思ってしまうが、警察は「新型コロナに対する不安や生活苦に直面し、通常ならだまされないような手口を信じてしまうケースも目立つ」と分析し、「見知らぬ人からのメッセージに反応したり、個人情報を教えたり絶対しないように」と呼びかけている。(c)東方新報/AFPBB News