【8月4日 AFP】新型コロナウイルスの検査について米ハーバード大学(Harvard University)の研究者をはじめとする専門家らは、PCR検査のような高精度の検査を受けるより、多少不正確かもしれないが1回1ドル(約107円)程度の簡易検査を週に複数回受ける方が良いと提言している。

 簡易検査を「質が悪い」検査だとしながらも、強く推奨しているのがハーバード大のマイケル・ミナ(Michael Mina)助教授(疫学)だ。

 ミナ氏の考えは、いまだに米国の大部分の地域で受けることが難しく、検査に数時間、結果が出るのに数日から1週間かかるPCRにこだわるのはやめた方がいいというものだ。ミナ氏は米食品医薬品局(FDA)に対し、自宅で実施可能で、試験紙の色の変化によって15分程度で結果が分かる妊娠検査キットのような簡易検査の販売を認めるよう求めている。

 簡易検査は精度が低く、偽陽性が多く出ることになるが、世界全体の人口を対象としなければならないという公衆衛生の名目上、そういった戦略の方がより効果的で、現在の検査態勢よりも多くの感染者が特定されるというのがミラ氏などの専門家の意見だ。

 さらに、たとえ簡易検査が感染者の半数を見逃したとしても、週に2回検査を行えば一度見逃した感染者も結局は特定できる可能性が高いという点もある。

 またPCR検査は非常に精度が高く、少ないウイルス量でも検出可能なので、すでに感染力がない人でも陽性反応が出る。一方、簡易検査はウイルスを放出する量が多い感染者の発見に適しており、感染力が強い初期の感染者の把握につながるという。

 ミナ氏はポッドキャストの番組に出演し、「われわれは高精度で高価な検査にばかり注目しすぎて、結局は誰も検査できずにいる」と批判した。

 米疾病対策センター(CDC)の推計によると、現在の検査態勢では検査を受けている人があまりにも少なく、実際の感染者を10人とすると、9人は発見できていないと考えられている。

 試験紙を使用する簡易検査キットは1回分1ドルから5ドル(約105~530円)とみられるが、FDAはいまだに販売を認めていない。(c)AFP