【8月2日 AFP】インドで、トラック運転手らを殺害し遺体をワニの餌にしたとして終身刑が言い渡されたものの、模範囚として仮釈放された後に行方をくらませた、古来の医学「アーユルベーダ」の伝統医の男が逮捕された。

 デリー(Delhi)首都圏の警察当局によって7月28日に逮捕されたデベンドラ・クマル・シャルマ(Devendra Kumar Sharma)容疑者(62)は16年の間収監された後、今年1月に仮釈放されたが、数週間の期間を経ても戻らなかった。

 同国メディアが「死の医師」と呼んだシャルマ容疑者は、2002~2004年の殺人数件で有罪とされ、2004年に北部ラジャスタン(Rajasthan)州で終身刑判決を言い渡された。

 デリー警察の副総監は、「デリー首都圏やハリヤナ(Haryana)州、ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州、ラジャスタン州で、トラックやタクシーの運転手が拉致・殺害された数十件の事件に(彼が)関与していた」と発表した。

 シャルマ容疑者が当局の関心を最初に引いたのは約20年前。1994~2004年に違法な腎臓移植への関与をめぐるものだったという。

 シャルマ容疑者は、他の医師や仲介人の協力を得ながら、臓器売買における移植手術少なくとも125件を手配したとされる。

 また、タクシーやトラックを手配した後に運転手を殺害して持ち物を強奪し、車両を売り飛ばしていたギャングの一味でもあったという。

 副総監の発表によると、「彼らは、ウッタルプラデシュ州カスガンジ(Kashganj)の運河に遺体を投棄していた。そこにはワニが生息しており、どの遺体も収容できる見込みはなかった」という。

 シャルマ容疑者は、少なくとも6件の殺人で有罪判決を受けている。

 だが副総監は、本人がさらに多くの犯行を認めており、「50件超の殺人の首謀者だったことを明かした」とした上で、「当時についてのメディア報道は、デリー首都圏やウッタルプラデシュ州、ハリヤナ州、ラジャスタン州でタクシー運転手100人超の殺害事件が記録されていたため、彼の犯行だったとしている」と指摘した。

 シャルマ容疑者は警察に対し、仮釈放中にデリーに逃亡し、新たな生活を始めたかったと話したという。(c)AFP