【7月31日 AFP】ロシアの裁判所は30日、酒に酔って警官に暴力を振るった罪で元米海兵隊員のトレバー・リード(Trevor Reed)被告(29)に懲役9年を言い渡した。

 ロシアでは先月、別の元米海兵隊員であるポール・ウィラン(Paul Whelan)被告もスパイ罪で起訴されており、米国との間で拘束者を交換する可能性も取り沙汰されている。リード被告の裁判ではあまりの証拠のいいかげんさに裁判官が笑ってしまう場面もあり、駐ロシア米大使のジョン・サリバン(John Sullivan)氏は「不条理劇だ」と判決を非難した。

 テキサス州出身で現在は学生のリード被告は昨年、モスクワで開かれたパーティーに出席した後に警官に暴力を振るったとされ、また車で署に連行された際に警官の腕を故意につかんで運転を妨害し、さらには別の警官の腹部をひじで突いたという。

 リード被告は判決について「完全に政治的なもの」と非難し、米政府に支援を求めると明言した。

 判決後、リード被告の恋人アリーナ・チブルニク(Alina Tsybulnik)さんは泣きだし、「本気なのか」「これがロシアの姿だ」と叫んで警官に外へ連れ出された。

 リード被告は2019年8月からモスクワの収容施設で拘束されている。裁判では事件に関する記憶が一切無いとして無罪を主張していた。(c)AFP/Maria PANINA