【12月21日 AFP】カナダ最高裁判所は19日、ロシア人スパイを両親に持つカナダ生まれの男性に、カナダ市民権を持つ権利を正式に認めた。

 アレクサンダー・ワビロフ(Alexander Vavilov)さんは1994年にカナダで生まれ、当時はアレクサンダー・フォーリー(Alexander Foley)という名前だった。その4年前には兄も生まれている。

 アレクサンダーさんの父親は、ドナルド・ヒースフィールド(Donald Heathfield)、母親はトレイシーアン・フォーリー(Tracey Ann Foley)と名乗っていた。2人はテレビドラマシリーズ「ジ・アメリカンズ(The Americans)」のモデルにもなっている。

 2010年、当時住んでいた米ボストン(Boston)近郊の自宅で逮捕された2人は、翌11年に他のロシア人スパイ8人と共に米国から追放された。

 カナダで生まれた子どもは、親が外交官である場合を除いて自動的に市民権が与えられる。アレクサンダーさんは2014年にカナダの旅券を申請したが、両親が外国政府に勤務していたという理由で、当局はアレクサンダーさんには資格がないという判断を下した。

 しかし2017年6月に連邦控訴裁判所が、アレクサンダーさんの両親にはカナダにおける外交特権がなかったとして、アレクサンダーさんによる市民権保有の資格を認め、今回最高裁もこの判断を支持した。

 地元メディアは、この最高裁判断は、同様の訴訟を起こしているアレクサンダーさんの兄にも自動的に適用される見通しだと報じている。

 裁判文書によると、アレクサンダーさんは幼少時代、両親がロシアのスパイだったことは知らなかったという。(c)AFP