■夫婦の「力関係」の変化を象徴

 英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College, London)で中国のジェンダー・ポリティクスを研究するリウ・イェ(Ye Liu)氏は、新たな習慣は中国における夫婦間の「力関係」の変化を象徴すると指摘する。

 自分の姓を子どもに付ける女性は、夫よりも収入が多いか、裕福あるいは強力な社会的つながりを持つ家の出身だとリウ氏は述べている。

 一人っ子政策の影響で、女性たちは「息子」のように扱われることも多く、男性と同等の教育や雇用機会を享受してきたため、以前よりも自信に満ちているという。

 一方、中国人女性の多くは、教育を受け、収入もあるにもかかわらず、子どもの名付けに関してはいまだ伝統にしばられていると感じている。

 多くの場合、1人目の子どもが男の子であれば父親の姓を、2人目には母親の姓を付ける。だが、もし1人目が女の子で2人目が男の子だった場合、男の子にどちらの姓を付けるかで争いになるとリウ氏は指摘する。さらに子どもが1人しかいなければ、母親の姓を付けるのは乗り越えられない挑戦だと付け加えた。

 作家のシェン・リウ(Shen Liu)さんは「このゲームには暗黙のルールがある」と話す。一人息子に自分の姓を付けようとしたが、義理の家族から強い反対を受け諦めたという。

「これは本当の男女平等とは言えない。これまでより目立たないが、別のある種の家父長制度にすぎない。今回はフェミニストの衣装をまとっているだけだ」 (c)AFP/Matthew KNIGHT / Poornima WEERASEKARA