【7月31日 AFP】サウジアラビアの政府系ファンドを中心とするコンソーシアムは30日、イングランド・プレミアリーグに所属するニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United)の買収を断念すると発表した。

 政府系基金のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)やPCPキャピタル・パートナーズ(PCP Capital Partners)、大富豪で知られるデービッド・ルーベン(David Reuben)氏とサイモン・ルーベン(Simon Reuben)氏の兄弟を含む投資グループは4月、ファンの反感を買っているマイク・アシュリー(Mike Ashley)オーナーから3億ポンド(約410億円)でクラブを買収することに合意したと報じられていたが、数か月にわたりプレミアリーグ側からの承認を待ち続けていた。

 ムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子が代表を務めるPIFは、契約案の中で株式の80パーセントを取得することになっていたが、人権団体から非難を受けていた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)や、殺害されたジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏の婚約者だったハティージェ・ジェンギズ(Hatice Cengiz)さんは、同国の人権記録をめぐって今回の買収案を批判しており、リーグ側に許可を与えないよう圧力をかけていた。

 サウジアラビア政府を後ろ盾とするプロジェクトの資金力で、シェイク・マンスール・ビン・ザイド・アル・ナヒヤン(Sheikh Mansour Bin Zayed Al Nahyan)オーナーが2008年に就任してから4度のリーグ制覇を果たしているマンチェスター・シティ(Manchester City)の成功を再現できるかもしれないと夢見ていた多くのニューカッスルファンにとって、今回の破談は打撃となった。

 スポーツ用品ビジネス界の大物として知られるアシュリーオーナーは、ファンへの接し方やチームの未来を見据えた補強に消極的な姿勢を見せているため、サポーターからの支持は非常に低い。

 今季のプレミアリーグを13位で終えて残留に成功したニューカッスルは、来季も高額な放映権収入を手に入れられるようになった。

 今回の件に対し、プレミアリーグ側はコメントを発表していない。(c)AFP/Kieran CANNING