【4月29日 AFP】イングランド・プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United)をサウジアラビアの政府系企業が買収しようとしているという報道を受けて、2018年に殺害されたサウジ人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏の婚約者が、プレミアリーグの名前を「汚す」と買収を認めないようリーグに求めている。

 ニューカッスルについては、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)がトップを務める政府系基金パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が3億ポンド(約400億円)での買収案を提示し、リーグが承認すれば株式の80パーセントを取得すると報じられている。

 しかしこの日、カショギ氏の婚約者だったハティージェ・ジェンギズ(Hatice Cengiz)さんの担当弁護士が、本人の代理でリーグに書簡を送り、買収を認めるべきではないと訴えた。

「それこそがリチャード・マスターズ(Richard Masters)最高経営責任者(CEO)とプレミアリーグが取るべき疑いなく適切で正しい行動だ。何より、ジェンギズ氏のフィアンセは無残にも殺されたのだ」「そうした忌まわしい行為に関与した者に、プレミアリーグやイングランドサッカーに居場所はない」

「そうした者たちとのつながりは、プレミアやイングランドサッカー全体の立場を汚す。彼らは最もおぞましい罪を犯しながら、それをごまかそうとし、英サッカーを利用してイメージアップと違法行為の隠蔽(いんぺい)を画策する者たちだ」

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)のコラムニストで、米国に在住していたカショギ氏は2018年、トルコ人のジェンギズさんとの結婚に必要な書類を受け取るため、イスタンブールのサウジ総領事館を訪れた際に殺害された。トルコ政府は、サウジ人15人がカショギ氏を絞殺し、遺体を切断したと主張。遺体は今も見つかっていない。

 サウジは2019年12月、事件に関わった5人に死刑、3人に長期の禁錮刑を言い渡したが、3人は無罪となっており、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は「ごまかしだ」と非難している。(c)AFP