【7月30日 AFP】米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)は29日、2020年4~6月期決算の純損益は予想を上回る約24億ドル(約2500億円)の赤字で、売上高は前年同期比25%減の約118億ドル(約1兆2400億円)だったと発表した。新型コロナウイルスの流行で航空需要の低迷が長期化する中、同社は追加の人員削減に踏み切る可能性を示した。

 すでに株式配当を停止し、10%の人員削減を発表しているボーイングは、代表的な747型機の生産を2022年で打ち切り、他の民間航空機も徐々に減産する計画を明らかにした。

 これらの動きは、追加の人員削減につながると予想される。

 デービッド・カルホーン(David Calhoun)最高経営責任者(CEO)は従業員へのメッセージで、「残念ながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長引く影響でわが社の生産率と民間機の需要が低下しており、従業員数をさらに見直す必要がある」と述べた。

 カルホーンCEOはまた、777型機と787型機の減産を発表。787型機の生産については、現在のワシントン州とサウスカロライナ州にある工場を、一つの工場に集約することを検討している。

 米ニュース専門局CNBCのインタビューでカルホーンCEOは、747型機の生産終了はボーイングの「誰にとっても感情的な決断」だったが、実需を踏まえると必要な判断だったと述べた。

 航空会社は航空機の注文をキャンセルし、配送を一時停止し、機体のメンテナンスを延期している。ボーイングが今年4~6月で配送した航空機はわずか20機で、前年同期の90機から激減した。

 カルホーンCEOは、航空業界が新型コロナウイルス発生前の状態に戻るまでに約3年はかかるとの見解を示している。

 2度の墜落事故を起こし、昨年3月から世界中で運航停止となった737MAX型機に起因する業績不振にあえぐボーイングは、新型コロナウイルスの打撃を受けてさらに厳しい局面を迎えている。(c)AFP/John BIERS