【7月29日 AFP】フランスの弁護士で生涯をフェミニスト運動にささげ、同国で中絶の非犯罪化を勝ち取るために尽力したジゼル・アリミ(Gisele Halimi)さんが28日、死去した。93歳だった。

 3人の息子の一人、エマニュエル・フォー(Emmanuel Faux)さんがAFPに語ったところによると、アリミさんは93歳の誕生日を迎えた翌日、安らかに息を引き取った。

 アリミさんは1927年7月27日、当時仏保護領だったチュニジアの首都チュニスで生まれた。フランスに移住する前から弁護士としてのキャリアをスタートし、アルジェリア民族解放戦線(FLN)の活動家の弁護で知られるようになった。

 だが、アリミさん自らが運動を展開する弁護士として全国的に有名になったのは、レイプ被害後に妊娠し、中絶したことで罪に問われた未成年者マリクレール・シュバリエ(Marie-Claire Chevalier)さんを弁護した1972年の裁判だった。アリミさんはこの少女の無罪を勝ち取ったにとどまらず、急速に近代化しつつあったフランスでこうした裁判が行われるのは受け入れられないとの認識の下、世論を揺さぶることにも貢献した。

 アリミさんは自分の理想に忠実であり続け、2019年9月の仏紙ルモンド(Le Monde)のインタビューでも「なぜ女性に負わされた不正が、全体的な反抗を引き起こさないのか」と問い掛けた。また別の機会にも「不正は私にとって身体的に耐えられないものだ」「私の全人生はそこに要約できる」と語っていた。(c)AFP