【7月29日 AFP】国連(UN)は29日、アフリカ大陸を移動する移民が「極限状態」で死亡しており、現在も毎月平均72人が命を落としていると推計する報告書を発表した。

 移民が海のルートを使ってアフリカから欧州に移動する間に死亡する事例は広く知られているが、アフリカの西部や東部から地中海に向かう地上ルートも同様に危険であることが明らかになった。

「この旅であなたが生きるか死ぬか、誰も気にしない」と題されたこの報告書は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とデンマーク難民評議会(Danish Refugee Council)の混在移動センター(Mixed Migration Centre)が共同で発行したもので、移民が移動中に直面する過酷な現実を詳細につづっている。

 UNHCRは、アフリカを移動するほとんどの移民が、密入出国の請負業者、人身売買業者、武装勢力、そして時には政府関係者らによる「言葉で表現できないような残酷で非人道的な」体験をしたり、出来事を目撃したりしていると明らかにした。

 2018年と19年だけで少なくとも1750人が死亡し、これは毎月平均72人、毎日2人以上のペースだという。報告書は「アフリカは移民や難民にとって世界で最も危険な移動ルートの一つ」だと指摘した。

 地上ルートで死亡した移民のおよそ3分の1は、サハラ砂漠(Sahara Desert)を越えようとした人々。そのほか、紛争が続くリビア南部や中央アフリカやマリを通過するルートでも多数の死者が出ている。(c)AFP