【6月18日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は18日、世界で8000万人近い人々が2019年末までに暴力や迫害によって居住地を追われ、避難を余儀なくされていると発表した。過去10年間でほぼ倍増したという。

 UNHCRの最新の報告書によると、難民や難民申請者、国内避難民の総数は昨年末時点で過去最多の7950万人となり、前年比で900万人近く急増した。世界の97人に1人が、家を追われて避難生活を送っていることになる。

 背景には、シリアやコンゴ民主共和国など、紛争地で避難者が増加している問題がある。フィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)国連難民高等弁務官は「世界人口の1%が、戦争や迫害、人権侵害などさまざまな暴力のため、自宅に帰れずにいる」とAFPに語った。

 グランディ氏は、避難生活を送る人々の数が「前年を上回るのは、2012年から続く傾向」だと指摘。「人々を自宅から追い出す紛争や暴力が増えた」ことや、紛争や危機に対する「政治的な解決策」がこうした人々の帰還を可能にするには「十分でない」ことが影響しているとの見方を示した。

「平和を実現するには国際社会があまりにも分断され、非常に無力かつ無能なため、残念ながら状況の悪化が止まらない。来年は今年以上にひどくなるのではないかと大変懸念している」とグランディ氏は述べている。

 今回の報告書では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)発生以降の避難状況の推移については触れていないが、グランディ氏は国境閉鎖やロックダウン(都市封鎖)などの措置を講じる中でも、各国は助けを必要としている難民申請者の受け入れを続行するべきだと繰り返し訴えた。(c)AFP/Nina LARSON