【7月28日 People’s Daily】わずか15秒。人工知能(AI)やビッグデータ分析の先進企業・平安科技社が開発した新型コロナウイルス判定システムは、患者のCT画像をAIで読み取り、短時間で症状を分析する。医者が肉眼で判断しようとすると、一般的に5分から15分を要する作業だ。

 中国では2月21日以降、新型コロナウイルスが最も拡大した湖北省(Hubei)を含め全国各地の1500医療機関がこのシステムを導入。累計で400万枚以上のCT画像から新型コロナウイルスの疑いがある画像を選び出し、医師の診療効率を大幅に向上させた。

 平安グループ首席医療科学者の謝国彤(Xie Guotong)氏は「CT画像は新型コロナウイルス診断にとって極めて重要だが、医師は大変な労力を必要とする」と説明。AIシステムが現場の負担を緩和し、医療の質を向上させている。

 近年、AI技術と医療産業は飛躍的に融合した。「スマート腕時計」は、腕に取り付けると心電図や心房細動などのデータをリアルタイムで計測する。遠く離れた地域の患者はテレビ画面越しに「リモート診察」を受ける。自宅で静養するパーキンソン病の患者も、普通のスマートフォンを通して運動機能の状態を確認できる…。多くの先端技術が医療従事者と患者の両方をサポートしている。

 北京安貞病院常務副院長で心臓血管の専門家、周玉傑(Zhou Yujie)氏は「スマート医療とAI技術の発展は、医療従事者にとてつもないエネルギーをもたらしている」と力説する。

 安貞病院では毎日、心臓の冠状動脈を調べるため200~300枚のCT画像を撮影する。「以前はすべて手作業で、検査から報告まで4時間以上はかかった。数坤科技社のAI診療補助システムを採用した後は、効率が倍になった」と周氏。狭心症患者の診察で、血管がどれほど狭くなっているか医師の目だけで判断するのでなく、AIが血管の狭窄(きょうさく)度や機能評価をする。「これまでは患者のデータも手動で入力していて、全体の傾向を体系的に分析するのが難しかった。現在はAIやビッグデータ分析と結合し、例えば『40歳以上の患者に顕著な心臓病の特徴は』といった分析がすぐできるようになった」

 AI画像分析とAI診療補助が病院、医師、患者をアシストする役割は大きい。ネットサービス大手の騰訊(テンセント、Tencent)が開発した医療AI「覓影(Miying)」は、がんの早期発見や診療補助に取り組み、医者が700種類以上の疾病リスクの進行状況と今後の予測をするのを補助している。ある統計では、こうしたAIは既に、肺と心臓血管の分野で1000万人の患者の補助診断を行っている。

 医療AIは医師の作業時間短縮、診断の品質向上、データによる診断能力の拡大をもたらし、その果実は患者にふるまわれている。(c)People's Daily/AFPBB News