【7月27日 AFP】ニュージーランドで27日、同国在住のサモア人首長に対し、25年にわたりサモア出身の労働者を奴隷として搾取したとして禁錮11年が言い渡された。

 ニュージーランド移民局によると、ジョセフ・マタマタ(Joseph Matamata)被告(66)は、十分な報酬を約束してサモアから労働者をニュージーランドに呼び寄せるも、入国後には暴力を振るい、農場や被告の自宅で無給労働を強制した。

 裁判で検察側は、マタマタ被告はサモアでは「マタイ(首長)」の地位にあり、同国人に信用され、尊敬される立場であったという事実が、同被告の犯行をより卑劣なものにしたと指摘した。

 移民局のスティーブン・ボーン(Stephen Vaughan)氏は「マタマタ被告の行為は嫌悪すべきもので、基本的な人間の良識のすべてに反していた」と非難し、「信頼を裏切る行為や身体的虐待、そして支援を約束した人たちの健康と幸せをあからさまに無視したことは道から外れた行いであり、処罰されなければならない」と述べた。

 5週間に及ぶ裁判を経てマタマタ被告には5月、13件の奴隷関連の罪と10件の人身売買の罪で有罪判決が下されていた。
 
 被告には禁錮11年が言い渡され、被害者13人への18万3000ニュージーランドドル(約1300万円)の賠償金支払いが命じられた。最も若い被害者は12歳だった。

 ニュージーランドは定期的にサモアから労働者を受け入れており、農作物の収穫などの季節労働を許可している。こうした労働者らは、家族を養うために給料のほとんどを母国に送金している。(c)AFP