【7月27日 東方新報】「オンラインゲーム」と言うと世界で広がりつつあるeスポーツのことのようだが、中国ではインターネットを通じて実際のスポーツの試合や大会をするオンラインゲームが広がっている。新型コロナウイルス感染症が長期化する中、新しいスタイルとして注目されている。

 今月11日、福建省(Fujian)と台湾の野球チームがオンライン形式の交流試合「団結ドリームマッチ」を行った。海峡の両岸に位置する福建省と台湾の野球チームは例年、交流試合を開いているが、今年は新型コロナのため形式を変更。福建省福州市(Fuzhou)と台湾・嘉義市(Jiayi)のそれぞれの野球場をビデオでつなぎ、両チームの代表選手9人が「ホームラン競争」をした。チームの仲間がボールを投げ、1人の選手が3分間で何本のホームランを打つかを競い、ライブ配信は50万人が視聴。「こんなやり方があるんだ」「面白い」などの書き込みがあった。

 台湾チームの黄裕閔(Huang Yumin)選手は「実際の試合ができないのは残念だけど、オンライン試合も新鮮だね。福建省のチームとまさに団結している感じだよ」と笑顔を浮かべた。

 コロナ禍の中、オンラインスポーツは増え続けている。4月中旬には、「F1バーチャルGP」の第3戦中国ラウンドが行われた。新型コロナで2020年シーズンが延期や中断となり、ファンを楽しませるために立ち上がったのがF1バーチャルグランプリだ。本来の日程に沿ってF1公式ゲームを使用する。ドライバーたちは集まることなく自宅などからレースに参加し、上海インターナショナル・サーキットを舞台にスタート。本番同様、激しいターンやタイヤ交換などがあり、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が優勝し、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)が続いた。

 4月下旬は、中国ゴルフ男子ツアーの「オンラインマッチプレー」が行われた。プロゴルファーが北京、上海、深圳(Shenzhen)、西安(Xi’an)など12都市で、スクリーンを使ったシミュレーションゴルフでプレー。コースや気候などの条件を合わせて「バーチャル対決」をした。参加した劉晏瑋(Liu Yanwei)選手は「シミュレーションゴルフはほとんどやったことないけど、こうした形のゲームは新鮮。大会が停止している間、ファンに喜んでもらえたら」と話す。

 中国は五輪の射撃で金メダル選手を多く輩出しており、射撃大会も盛ん。四川省(Sichuan)、重慶市(Chongqing)、貴州省(Guizhou)、雲南省(Yunnan)の90人の射撃手がそれぞれ地元のスポーツ施設を会場にしたオンラインの「中国西南射撃大会」が開かれた。大会関係者は「新型コロナで移動や集結が難しい中、オンライン大会は選手の鍛錬になる。無観客で経費の節約も図れる。今後も行っていきたい」と話す。

 オンラインゲームにはもちろん課題もある。野球もオンラインでは正式な試合はできず、サッカーやバスケも同様だ。ただ、全世界的に感染が止まらず、秋や冬になれば第二波の恐れがある。新型コロナが終息しない世界を生きる「withコロナ」の時代が続けば、オンラインスポーツはいやがおうにも定着していくかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News