【7月27日 People’s Daily】中国の大地を流れる黄河は、中華文明を生み出した「母なる河」であると同時に、洪水や氾濫で民衆を悩ませてきた「暴れ川」でもある。黄河は今年も7月から増水期に入ったが、近年は最新技術により河川の状況を監督する「スマート黄河」プロジェクトが進み、早期警報システムや救助作業態勢などをサポートしている。

 はるか上空からは地球観測衛星「遥感」が黄河流域の天候を観測し、川面近くではドローンが流量の変化を撮影し、リアルタイムで映像を送る。流域にある346か所の大型・中型ダムからもオンラインで情報が届き、ビッグデータとして集積される。人工衛星、ドローン、ビッグデータ、人工知能(AI)…。こうした先端技術を駆使することで危険を刻一刻と事前に掌握し、災害が発生した場合も早期に河川の補修や救助作業に移行できる。

 6月は華南地区と江南地区一帯で集中豪雨が相次いだが、国家気象センターの予報員は豪雨が始まる1週間前、この地域に襲来する豪雨の流れを早期に「ロックオン」していた。気象の変化をきめ細かく追跡して情報を収集・発信し、各地が防災態勢を整えた。

 近年、中国の気象予測の技術は大幅に上昇している。2019年、大雨警報の精度は88%に達し、台風ルートの予測は世界トップレベルを保っている。

 河川の水位や流量の変化を予測することは、水災害を防ぐため最も重要だ。7月に入ると集中豪雨のエリアは華北地区、東北地区へと北上してきた。華北と東北は山間部の中小河川が多く、大量の降雨があった河川が合流すると短時間で洪水が発生する。気象観測と早期の警報発令は極めて難しいため、先端技術のサポートはとりわけ重要となる。

 水利省水文水資源観測予報センターの劉志雨(Liu Zhiyu)副主任は「先端技術の導入により、全国12万か所の河川情報ステーションからわずか10~15分で情報が集まる。洪水予報のための作業も数十分しかかからない」と話す。

 今回の水害で、安徽省(Anhui)安慶市(Anqing)の電気通信事業者は5G(第5世代異動通信システム)とVR(仮想現実)を一体化した技術を開発し、水位の観測を続けた。

 情報伝達の遅延が低い5G信号で、各地で撮影した画像データをほぼリアルタイムで受け取ることが可能になり、監視スタッフはVRゴーグルをつけるだけで水位の変化を掌握し、河川に異変があれば応急措置や人命救助指示を迅速に行える。こうして増水期の巡視作業の効率を大幅に高めた。

 都市部ではIoT(モノのインターネット)技術を使い、排水の効率化や冠水防止策を進めている。福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)や貴州省(Guizhou)貴陽市(Guiyang)では、市街地で浸水しやすいエリアを地図上で可視化している。スタッフはスクリーン前に立つだけで、リアルタイムで浸水や冠水の状況を確認できる。

 また、ドローンやロボットは今や、水災害の救援作業で「標準装備」となっている。

 ドローンはスピードがあり行動範囲も広く、地形の制約を受けず、災害現場から高画質の写真と動画を指揮センターに送信できる。行方不明者の捜索や、人命救助、緊急物資の輸送にも有効だ。

 最近は「水上救援ロボット」も各地で登場している。ロボットはボートのような形をしており、タブレットやコントローラーで操作。川の流れが急で川岸から離れた位置で被災者が助けを求めている場合、ロボットの出番となる。ロボットは一度に3~4人を搬送することができる。人々の頭脳から生み出された最先端技術が、人々の命と暮らしを守っている。(c)People's Daily/AFPBB News