【7月27日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は26日、予定していた8月の米大リーグ(MLB)、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)の試合での始球式登場を取りやめたことを発表した。

 新型コロナウイルスの感染拡大は陰謀だと主張するトランプ大統領は、人種差別だと非難される原因になっている言葉も使いながら「ワクチンや経済に関する会議の予定など、チャイナウイルスに専念しているため、ニューヨークへ行って8月15日のヤンキース戦で始球式を行うことはできない。また後ほど行かせてもらう」とツイッター(Twitter)で話した。

 大統領は23日の新型ウイルスに関する会見で、ヤンキースのランディ・レビン(Randy Levine)球団社長からボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)とのホームゲームでの始球式を打診されていることを明かした。しかし、ニューヨーク市の関係者は反発し、ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長が「人種差別を非難した次のステップは、大統領を始球式のマウンドに招待することではない」とつぶやいていた。

 新型ウイルスの影響で延期になっていたMLBは、先日ようやく開幕にこぎ着け、ワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)対ヤンキースの開幕戦では、国内の感染症の権威であるアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)氏が始球式を行った。

 首都ワシントンでの開幕戦の始球式は、大統領が務めるのが通例だが、ナショナルズは球団ブランドのマスクをよく着けるなど、チームの熱烈なファンであるファウチ氏を招待していた。

 感染が拡大する中でコロナ禍に伴う課題に取り組み、急激に知名度を高めたファウチ氏は、公衆衛生に関する国民の声の一番の代弁者とみなされている。しかし、ファウチ氏の人気と知名度の高まりにいら立っているとされるトランプ大統領は、同氏のテレビへの出演回数を削らせている。(c)AFP