【7月24日 AFP】(更新)米大リーグ(MLB)は23日、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れた2020年シーズンがスタートし、選手たちは試合前に抗議運動「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」に連帯を示して膝つきを行った。

 約4か月遅れの開幕カードでは、ワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)がニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)がサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)をそれぞれ本拠地に迎えて対戦した。

 野球は米国で国民の娯楽と呼ばれ、MLBのシーズン開幕戦は毎年お祭りムードに包まれるが、この日は対照的に奇妙な無観客の球場で両試合とも開催された。

 ナショナルズ・パーク(Nationals Park)とドジャースタジアム(Dodger Stadium)では、どちらも選手が片膝をつき、細長い特大の黒いリボンを一緒に掲げた。

 ナショナルズ対ヤンキース戦では、その後選手たちは起立して国歌斉唱に臨んだが、ドジャースタジアムではドジャースに新加入したスター選手、ムーキー・ベッツ(Mookie Betts)が膝をついた状態を維持し、チームメートのコディ・ベリンジャー(Cody Bellinger)とマックス・マンシー(Max Muncy)は同選手の肩に手を乗せて連帯を示した。

 またジャイアンツの選手やコーチングスタッフら数人も膝をついたまま国歌斉唱を行った。チームを率いるゲーブ・キャプラー(Gabe Kapler)監督は「あれは本当に大きなことだ。両チームの選手とスタッフが一つになった瞬間だった」と語った。

 非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡した5月25日の事件以降、米国は全国で行われている人種差別や警察の暴力に対する抗議運動に揺れている。

 膝つきは「黒人の命は大切」運動に連帯を示すジェスチャーとして広く認識されており、抗議活動が始まってから、世界中のデモ参加者やプロスポーツ選手が取り入れている。

 試合は、ヤンキースが雨天5回コールドでナショナルズに4-1で勝利した。ナショナルズは、試合前にフアン・ソト(Juan Soto)外野手が新型ウイルスの検査で陽性だったことが分かり、主砲不在の影響が感じられた一戦となった。一方のロサンゼルスでは、ドジャースが8-1でジャイアンツに快勝した。

 また同日には、リーグ側と選手会(MLBPA)が今季のポストシーズンについて、出場チーム数を10から16に増やすことで合意している。(c)AFP