【7月24日 AFP】シリア上空で23日、飛行中のイランの旅客機に米軍のF15戦闘機2機が異常接近した。イラン当局が翌24日、明らかにした。旅客機の操縦士は衝突を避けるため急降下し、乗客らはパニックに陥ったという。

 米軍機が接近したのは、マハン航空(Mahan Air)機。イラン国営テレビ局は、機内で乗客が悲鳴を上げる様子などを捉えた動画を放映した。

 同局は当初、戦闘機はイスラエルのものだと考えられ、機体の急降下によりけがをした乗客もいたと報道。「挑発的で危険」な出来事だったとしていた。

 報道後、中東などを担当する米中央軍(CENTCOM)は「F15戦闘機は通常任務に就いており、(中略)約1000メートルの安全な距離からマハン航空機に対し、規定の目視確認を行った」と説明。

 その上で、「国際基準に従って実施された任務上のインターセプト(接近)」であり、「F15戦闘機の操縦士は、同機がマハン航空機だと確認すると、安全な距離に離れた」と主張した。

 国営イラン通信(IRNA)によると、旅客機側の操縦士は無線で両戦闘機と交信し、その後無事にレバノンの首都ベイルートに着陸したという。

 イランのアッバス・ムサビ(Abbas Mousavi)外務省報道官は、国連(UN)および在テヘラン・スイス大使館と連絡を取り合っていると明かした。1979年のイラン革命以降、スイスがイランにおける米国の利益代表国を務めている。

 ムサビ氏はIRNAに対し、「この旅客機に復路で何か起きたら、わが国は米国に責任を取ってもらう」と述べた。(c)AFP