【7月24日 AFP】サンゴ礁や岩礁に生息する種類のサメの個体数が驚くほど減少している──。世界規模で初めて行われた調査でこのほど、明らかになった。調査対象となった海域の20%近くでは、捕食者のサメが「機能的絶滅」に陥っていることが報告された。

 4年に及んだ調査では、「まき餌カメラ」と呼ばれる、おとりの餌を付けた遠隔操作の水中カメラ1万5000台以上が用いられた。調査の結果、礁に生息するサメがどこで繁栄し、どこで事実上姿を消しているかの包括的な実態を初めて把握できた。

 調査結果をまとめた論文の筆頭執筆者で、カナダ・ダルハウジー大学(Dalhousie University)のアーロン・マクニール(Aaron MacNeil)准教授は、約60か国の370を超える岩礁やサンゴ礁から得られた今回の結果は憂慮すべきものだと指摘している。

 カタール、インド、ベトナム、ケニアを含む8か国の調査では、サメが一匹も見られなかった。マクニール准教授は、「これらの国では、礁のサメが…環境中の生態系で何の役割も果たしておらず、機能的に絶滅していることが示された」と研究結果について説明する。

 22日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、破壊的な漁業慣行がサメの個体数減少の原因である可能性が最も高いという。論文では、混獲が起きやすいと非難されている「刺し網」や「はえ縄」漁法が、礁のサメの相対個体数に最も強い悪影響を及ぼしたと指摘された。

 国際調査プロジェクト「グローバル・フィンプリント(Global FinPrint)」との支援を受けた今回の研究では、ボランティアと研究者のチームが水中カメラで捉えた1万5000時間以上の映像を分析した。水中カメラを用いた今回の調査手法についてマクニール准教授は、「礁のサメに対する将来の保護活動の成功予測と評価を行うための比較基準」を得ることができたと話した。